生徒を主語とする学校経営
学校は、そこに通う全ての生徒の豊かな学びや育ちを保障する場所です。そこでは、生徒たちの「将来の幸せ」につながる支援や指導を行うとともに、日々の学校生活を通じて生徒一人一人が「今の幸せ」を感じられる場所となることが大切です。
日本が1994年に批准した子供の権利条約では、「子供の最善の利益の尊重」が、重要な原則の一つとして揚げられていいます(第3条)。これは、子供に関することを決める際には、(その)子供にとって何が最も大切なのかを第一に考えるということです。そのため同条約では、子供の意見の尊重もあわせて重要な原則として掲げており(第12条)、子供に関することは子供の意見も聴いて決めることを求めています。昨年度、生徒会執行部が「生徒全員が過ごしやすり学校」目指してルールメイキング(校則の見直し)を行ってきました。生徒たちにとって今の学校はどのようであり、何を感じているのか。生徒たちは学ぶ意味を感じられているのか、学校生活は幸せなものになっているのか。そうした生徒たちの視点や声を大切にした学校づくりに心がけてきました。
大切にしたいこととして第一に、多様な生徒の声を聴き、参加の機会を保障することです。生徒の声や意見は一枚岩ではありません。同じ学級・学校にいる生徒でも、学校生活の経験や感じ方はそれぞれ異なります。小さな声やすくい上げられにくい声の中に、埋もれている課題があるかもしれません。そうした聴かれにくい/排除されやすい声にも意識を向けながら、様々な生徒の声に耳を傾け、多様な生徒が参加できる機会を用意していくことが大切です。
第二に、子供の声を聴く大人の側の姿勢です。無意識のうちに子供の声を都合よく解釈したり、都合の良い意見ばかり耳を傾けたりしていないか。子供の声を聴くということは、大人の予定調和の範囲内で聴くということではなく、ときに大人の側も変われるかも問われます。もちろん、生徒の意見が常に正しいとは限らないし、全て反映しなくてはならないということでありません。生徒と教員、子供と大人それぞれの視点を大切にしながら、一緒に考えていくという関係こそ大切にしたいことです。子供と大人は、学校や社会をともに作っていくパートナーです。引き続き、「生徒を主語にした那須中学校」を子供たちと力を合わせてつくっていきます。
※筑波大学人間系教育学域 古田雄一助教「生徒を主語とする学校経営~生徒の声や参加を大切にした学校づくり~」より一部引用